家庭訪問は恋の始まり
「ありがとう。
嘉人くんが幸せにしてくれるの?」

私が尋ねると、

「うん! 僕、夕凪先生にいっぱい優しくして
もらったから、今度は僕が優しくして
あげる。」

と真っ直ぐに見上げて言われた。

「ふふっ
ありがとう。期待してるね。」

そこへ美晴が駆け込んで来た。

「ああ! 嘉人くんだぁ!」

「こら、美晴! お客様だぞ!」

兄が美晴を窘める。

「ごめんなさい… 」

しょんぼりうなだれる美晴の姿は、なんだかかわいい。

「美晴ちゃん、こんにちは!」

嘉人くんが嬉しそうに挨拶する。

「あのね、あのね、美晴ちゃん!」

嘉人くんは立ち上がって、美晴の所へ行き、手招きして耳元で内緒話を始めた。

「ええ! ほんと? やったぁ!」

美晴は小躍りせんばかりに喜んでいる。

「嘉人、何、言ったんだ?」

瀬崎さんが尋ねると、

「僕がね、美晴ちゃんの従兄弟になるよって、
教えてあげたの。」

と嬉しそうに答えた。

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