家庭訪問は恋の始まり
「昨年度、担任した児童の父親なんです。
同じ市内ですし、こういう噂は広まるのも
早いですから、学校にもご迷惑をお掛けする
事があるかもしれません。
大変、申し訳ありません。」

私は、思いっきり頭を下げた。

「まあ、神山先生、頭を上げてください。
もう少し、事情を聞かせていただいても
いいですか?」

「はい。」

私は、事の成り行きをざっと説明する。

「要するに、担任してる時に好意を打ち明け
られたが、神山先生は担任児童の保護者で
ある事を考えて、返事をしなかった。
それが、このたび、担任を外れた事で、一気に
結婚まで話が進んだという事でいいですか?」

「はい。」

「でしたら、問題はないでしょう。
何か言ってくる保護者がいても、そのように
説明すればいいだけですから。」

校長はまた穏やかな笑みを向けてくれた。

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