家庭訪問は恋の始まり
「それと、もう一つあるんです。」

「何ですか?」

「実は、相手が仕事の関係で東京に行く事に
なったので、今年、東京の採用試験を受けよう
と思ってます。」

今度は、顔を上げて、校長の目を見て話した。

「つまり、来年度は東京で先生をしたいと
いう事ですね?」

「はい。」

「それは残念です。
神山先生は、とても熱心でいい先生だと
聞いていたのに、一年しかいらっしゃらない
なんて。」

そんな風に言っていただけて、とても嬉しい。

「では、試験の日には、年休が取れるように
調整しなければいけませんね。
教務の細川先生とよく相談して、自習監督が
不在にならないようにしてください。」

「はい。
ご理解いただき、ありがとうございます。」

私は一礼して、校長室を後にする。

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