家庭訪問は恋の始まり
慣れてくると、まかないを作らせてもらえるようになった。

だけど、厨房に配属されてるのは、大抵、調理師や栄養士の資格を持った奴ばかりで、ずぶの素人は俺だけだった。

だから俺は、専門学校卒で1つ年下だけど1年先輩の酒井さんについてもらって、料理のいろはを教わった。

休みの日には、家で家事をしてくれている美恵さんに料理を習う。

そうして、下働きをしながら、徐々に料理も覚えていった。


厨房を1年務めると、今度はホールも兼務する事になった。

そんな時、ホールスタッフに18歳の女の子が入ってきた。

かわいい…

俺はホールの仕事を彼女に教えるが、正直、困った。

彼女は1度に複数の指示を与えると、大抵、どれかを忘れて失敗する。

それは接客でも同じで、オーダーを取りに行く途中で別の客に呼び止められると、本来行くべき客の所へ行くのを忘れたりする。

だから、俺は彼女が気になって仕方がなかった。

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