家庭訪問は恋の始まり
「はい。
ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。」

私は、頭を下げる。

「ADHDの子は全クラスにいます。
こういう問題は、いつ起きてもおかしくは
ありません。
だからこそ、注意してあげてくださいね。」

校長先生は、静かに言う。

だから、余計に堪える。

「はい。」

私はうなだれて、返事をした。



そのあと、努めて平静を装って、5時間目の授業をする。

5時間目、嘉人くんは、いつになく静かだった。


5時間目が終わり、1年生は下校する。

私は職員室に戻り、落ち着かないながらも、翌日の授業準備をする。

「夕凪先生。
きっと礼央くんは大丈夫ですよ。」

武先生が隣の席から、優しく声を掛けてくれる。

「………だといいんですが。」

< 57 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop