エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
#14 不安

 月末の定時退社日、環の歓迎会と早めの忘年会の日はあっという間にやって来た。

 私はいつも通りの時間に出社して、皆に挨拶をして席に着いた。席に着くなり、桃子ちゃんが話しかけてきた。

「いよいよ今日ですね! やっと幹事の成果を発揮する日がやって来ましたよ」

 そう言う桃子ちゃんはいつもより気合いが入っている。どちらかというと派手な服が好みの桃子ちゃんは、今日は清楚なワンピースを着ていて、香水も抑えめにしている。

 先に出社していた何人かの営業事務の子達も普段と少し印象が違う服装だ。私だけはいつもと変わらずジャケットにパンツスタイルで、何も変わらない。

「桃子ちゃん、二週間本当に頑張ってたもんね。お疲れ様」
「いえいえ、これも仕事ですから。それにしても倉持さん、本当にクールな方でした。幹事の用事で何度か話しかけたんですけど、なかなか打ち解けてくれる雰囲気じゃなくて大変でした。それがかえって振り向かせてやるって感じで、燃えちゃうんですけどね!」
「あはは……」

 桃子ちゃんはこの二週間、かなり張り切って仕事をしていた。いつもなら残業も殆どしないで帰る彼女も、さすがに二週間で場所を見つけて佐々木さんと二人で話をまとめ上げるのは大変だったようだ。

 何よりも桃子ちゃんの行動力の原動力になっていたのは、前に桃子ちゃんが言っていた通り、環のようだった。
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