仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「そうだけど……」
「大丈夫かしら? あの人は私たちを嫌っているから」
恵美子が心配する通り、祖父は美琴の父と継母を疎ましく思っている。
父の病気を心配したことは一度も無いし、継母の様子を心配する気配もない。
祖父にとって二人は他人なので、仕方がないのかもしれないけど、冷淡な態度だと感じる。
「……どうなるか分からないけど、何もしないよりはいいと思うから。今後のこともあるし、話してみる。明日、お正月の挨拶に行くからそのときに」
「お祖父さんより、神楽さんに頼んだ方がいいんじゃない?」
「それは絶対無理だから!」
きっぱりと言い切ると、恵美子は驚いたように目を丸くした。
「急に大きな声を出してどうしたの?」
「ごめん、何でもない。とにかく神楽家に頼むのは無理なの」
「そう……私にはどうして美琴ちゃんが夫に頼らないのか理解できないわ」
恵美子ががっかりした様に呟く。
今までにない気まずい空気が漂った。
美琴は弟達が昼寝をした午後二時になると、実家を出て、後味の悪いまま自宅に帰った。