仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
とくに寄り道もせずに午後三時過ぎに自宅に戻った。

思った通り、一希は出かけているようで不在だった。

自室にバッグを置きリビングに行く。

なんだから疲れてしまったので、お茶を飲んで一息つこうと思った。

キッチンで紅茶を入れてリビングのソファーに腰かけると、ローテーブルの上の封筒が目に付いた。

「これって……前に見かけたもの?」

封筒を手に取り、確認する。


――牧之原病院――

やはり寝室で見かけたものと同じ封筒だった。違っているところはあの時と違って封がしてないこと。

(どうしてこんな所に、無防備に置いてあるの?)

用心深く書斎に鍵までしている一希の行動とは思えない。

少し迷ってから、封筒の中身をのぞいてみる。中には写真と薄い冊子が一冊。

取り出し確認すると、冊子は病院の案内だった。

美琴のイメージする病院とはまるで違う、ホテルの様な内装の綺麗な個室。広々したエントランス。庭園などの写真が載っている。

(こんな病院有ったんだ)

驚きながら、写真の方に目を遣った美琴は、次の瞬間冷え冷えとした気持ちになった。


それは、笑顔で寄り添う一希と千夜子の写真だったから。


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