仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
(今日はついてない……)

気分の悪い写真を見てしまったし、実家でもいつものように安らげなかった。

と言うのも恵美子の態度が、今までと少し違うように感じたからだ。

これまでの恵美子は美琴を頼ることは有っても、酷く申し訳無さそうな態度だった。

けれど今日は、さも当たり前のように、援助してくれと言って来た。

大切な家族を助けたい気持ちはいつだってあるけど、美琴の状況を少しも考慮せずに要求をされ悲しくなったのだ。



その夜、一希は午後十時過ぎに帰って来た。

「お帰りなさい」

リビングでコーヒーを入れていた美琴は、手を止めて声をかけた。

仕事ではないはずなのに、彼はスーツ姿だった。

どこか畏まった所に行ったのだろうか。

一希は「ああ」と小さく答えると、怠そうにネクタイを緩める。

「明日は何時に出るんだ?」

「祖父には午前中に行くと言ってあるから、十時には出たいわ」

「分かった」

一希はそう答えると、ソファーの上の封筒に気付いた様子で眉をひそめた後、美琴を振り向いて来た。

何か言いたそうにしていたけれど、美琴は気付かないふりをする。

しばらくすると、一希は封筒を手に取り、寝室へ入って行った。

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