仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
翌日。

早めの夕食をとり部屋でのんびりとしていると、玄関ドアが開く音がした。

(え? 今日も帰ってきたの?)

驚き、扉の向こうの様子を伺う。

一希は靴を脱ぎリビングに入ったようだった。

何をしているのかまでは分からないが、書斎にも寝室にも行かないようで物音が聞こえる。

(お茶を取りに行こうと思ってたのに)

がっかりしながらベッドに座り込んだ。

二日連続で帰ってくるなど予想外だ。一体何を考えているのだろう。

(もしかして、ここは俺の家だってアピールしているとか?)

美琴の勝手にさせないようにと監視しに来たのだろうか。

(いくらなんでもそんな暇じゃないと思うけど……)

夫としては問題があるが、仕事はしっかりこなしていると聞いている。

本当に一希が何を考えているのか分からなかった。

はっきりしているのは、自分の生活が窮屈になったことだ。

(まさか、明日も帰って来るなんてことないよね?)

嫌な予感が湧いてくる。

その不安は的中して、一希は翌日も同じ時間に帰って来るという不可解な行動をした。


< 261 / 341 >

この作品をシェア

pagetop