「あの、桐生さんは、私の両親の事は
ご存知なんですか?」

「え? ご両親…ですか?」

「あの、もし、出世とか、将来の事とかを
考えていらっしゃるなら、無理ですよ?
私と結婚したとしても、何の後押しもして
もらえませんから、
期待しないでくださいね。」

「えっと、それは、どういう…
栗原さんは、社長とご親戚か何か
なんですか?」

この人、本当に知らないのかも…

いっそ、天くんに合わせちゃった方が、説明が早い?

いやいや、そんな事したら、拗れるの、目に見えてるし。

「桐生さん、あの、ここ、出ませんか?
あまり喋ってると、他のお客様の迷惑に
なりますし。」

ここは、音楽を楽しむ場だ。

会話をしたいなら、出るべきだろう。

「そうですね。
また、落ち着いてから、出直しましょう。」

桐生さんが賛成してくれたので、私たちはその店を出て、深夜まで営業している近くのカフェに移動した。
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