残念な王子とお節介な姫
結の手料理を無駄にしたくなくて、俺は次の日、弁当を持って出勤した。

「課長、どうしたんです、それ?」

昼に俺が弁当を広げると、姫が覗き込んできた。

「昨日、帰ったら、冷蔵庫が料理でいっぱいに
なってたから。」

「へ? なんでです?」

「結が自分の荷物を取りに来て、
置いてったんだと思う。」

姫が固まった。

「そしたら、それ、愛妻弁当やないですか。
別れたのに、変やないですか。」

「………別れたけど、俺の中には結がいるし、
きっと結の中にも俺がいるんだと思う。」

「なら、なんで別れたんですか。
別れんでも良かったんやないですか?」

「結には、俺より好きな奴ができたから。
お互い、嫌いになった訳じゃないけど、
しょうがないんだよ。」
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