残念な王子とお節介な姫
俺たちは魔法を体験し、姫のたっての希望で子供に混じって犬の背に乗って空を飛び、火災現場を体験し、いたずらきつつきの話を楽しんだ。

遊園地なんて、小学生の頃、親と行って以来だ。

だけど、大人でも楽しめるんだな。

日が沈み、園内がライトアップされ始めた頃、土産物店で姫がさっき乗った犬のぬいぐるみを物色していた。

「姫、これ好きなのか?」

俺が聞くと、

「はい。かわいくありません?」

と答えて、またにこにことぬいぐるみの顔を見比べる。

ふっ
かわいい。

俺は、ようやく選んだぬいぐるみを抱える姫の腕からそれを取り上げた。

「え? 課長、何するんですか!?」

姫が慌ててついてくる。

俺は構わず、レジで金を払った。そして、

「はい。今日、連れ出してくれたお礼。」

と、姫にそのぬいぐるみを渡した。

だって、本当に俺は今日、姫に救われたんだ。

きっと、今日、ひとりでいたら、こんな風に笑えなかった。

もしかしたら、女々しく泣いていたかもしれない。

姫、ありがとう。
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