残念な王子とお節介な姫
「課長、大丈夫ですか?」

姫崎が隣から覗き込んでくる。

「ん? 何が?」

大丈夫かと聞きたいのは、こちらだが。

「気付いてへんのですか?
さっき、スマホ見てから、ため息の連続
ですよ?
彼女さんですか?」

そうか。

俺は苦笑するしかなかった。

「ああ。
明日、会いに来たいって言われたけど、この
状況じゃあな。」

「それは、会ってあげてくださいよ。
うちも、遠距離恋愛中やから、分かります。
例え、5分でも会いたいもんですよ?」

「姫崎、彼氏いたのか。」

こんな仕事してたら、デートなんてできないだろうに。

「彼氏くらいいますよ。
高校生の時から続いてて、もうすぐ6年に
なります。」

「へぇ。
うちより、長いな。」

「課長は、付きおうて何年になるんですか?」

「5年ちょっとだよ。」

「結婚しぃひんのですか?」
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