残念な王子とお節介な姫
クリスマスイブに
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クリスマスイブに

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12月24日(火)

あれから、毎週土曜は姫がうちに泊まっていく。

シーツはベージュからモスグリーンに変わった。

食器は、桜柄の美濃焼の夫婦茶碗とお揃いのコーヒーカップが新たに加わった。

姫は、今までの食器も捨てる必要はないと言って、不要な物は食器棚の下段の奥にしまった。

結の思い出を全て消してしまおうとしない姫の優しさだと思う。

俺は、そんな姫に、クリスマスイブの今日、平日だけど、泊まりに来るように伝えた。

俺の部屋のクローゼットには、いざという時に備えて、部屋着の他に、姫のスーツが2着ぶら下がっている。

洗面所には、姫の歯ブラシの他に、化粧品も並んでいる。

これで、付き合っていないなんて、誰も信じないだろう。
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