残念な王子とお節介な姫
帰って思う事は、結に会いたいって事。
ダンボールしかない寒々しい部屋でも、きっと結がいれば、それだけで優しい空間に変わるのに。
いっそ、新幹線に乗って東京へ行ってしまえば良かったのかもしれない。
とんぼ返りにはなるけど、結に会えたら、どんなに元気になれるだろう。
そんな事を思いながら、俺は久しぶりに自分のベッドで眠った。
翌朝、俺は、すっきりと目覚めて出勤する。
姫崎はもう席に着いて、仕事を始めていた。
「姫、おはよ。」
俺がそう言うと、姫崎は、少し目を見開いて、
「おはようございます。」
と笑った。
「昨日は、ありがと。
お陰で、すっきりしたよ。」
「それは、良かったです。
あのままやったら、彼女さんを迎えに行く
前に、天国からお迎えが来るんやないかと
思ってましたから。」
「ははっ
それは、困る。」
俺は、それからは、出来るだけ、終電までに帰る事にした。