残念な王子とお節介な姫
そんな事を毎日繰り返してたら、今日4月8日(月)、姫崎が怒った。
「課長、いい加減、家に帰って寝てくださいよ。
そんなんしてたら、体壊しますよ。」
「……… 家に帰っても、結はいないし、部屋の
中、ダンボールしかないし。」
俺がぼやくと、
「はぁ!?
どんだけ、彼女さんの事、好きなんですか。
彼女さんだって、課長がこんな生活してるって
知ったら、心配しますよ?
ええ加減、帰ってください。
今日、帰らんかったら、本社の彼女さんに
電話しますよ?」
と脅された。
「は!?
なんで、姫崎が結の事、知ってるんだよ?」
「この間、一本(いちほん)の同期と電話で
話した時に教えてもらいました。
課長、王子って呼ばれてたそうですね?
お互い1人やったら、姫と王子でいい
組み合わせやのにって笑われました。」
「ははっ
言われてみれば、そうかもな。」
「王子って言われても、否定しないんですね?」
「ん? ああ。
俺は、高校生の頃から言われてるから、もう
慣れた。」
「すごい…
って、そこは、どうでもいいんです。
今日こそ、帰ってください。
ほんまに密告電話しますよ。」
「分かった、分かった。
今日は、帰るから。」
だから今日、俺は、1週間ぶりに、まだ数時間しか過ごした事のない我が家へ帰った。