残念な王子とお節介な姫
俺だけの姫
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俺だけの姫

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4月3日(土)

緊張しすぎて、全然、眠れなかった…

だけど、今、そんな気怠さも消えてなくなるほど、幸せで満ち足りた気分だ。

目の前に、奈々がいる。

純白のウエディングドレスを纏って。

奈々は32歳のおっさんの俺を捕まえて、王子だと言う。

だけど、俺なんかより、奈々の方がお姫様だ。

シンデレラより綺麗で、白雪姫よりかわいい。

俺は今から、このお姫様と結婚する。

なんて幸せなんだろう。


「海翔?」

思わず、じっと見つめていた俺を見て、奈々は恥ずかしそうに頬を染めた。

「奈々、綺麗だ。」

奈々は目を伏せて、

「海翔もめっちゃかっこいい。」

とはにかんだように言う。

俺は思わず、歩み寄って、奈々を抱き寄せた。

「奈々、愛してる。
一生、幸せにするから。」

奈々も俺の背に腕を回す。

「うち、もう絶対、海翔から離れへんよ?
覚悟しといてな?」

かわいい…

俺は奈々を見つめ、奈々は目を閉じる。

俺は、ゆっくりと顔を寄せ…

「新郎新婦様、お時間でございます。」

ノックと共に係の女性の声がドアの向こうから響いた。

はぁ…

俺は思わずため息を吐く。

「奈々、続きは結婚式で…」

そう言って、俺は奈々を抱く腕を緩めた。

俺たちは手を取り合って、控室を後にする。

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