残念な王子とお節介な姫
それから、俺は、閉店後のシステムに異常がない事を確認して、取引先の担当者に挨拶をし、大阪駅へ向かった。

20時半

俺は新幹線に乗り、結にメッセージを送る。

『23時頃、品川に着く』

ゴールデンウィークの新幹線は、この時間でも結構混んでいた。

品川駅を降りると、

「海翔!」

と呼ばれた。

声のした方を見ると、人混みに紛れるように小さな結がいた。

「結!」

俺は、叫んで駆け出した。

キャリーバッグを引きずるのも、もどかしくて、転がすのをやめて、持ち上げて走った。

「結… 会いたかった… 」

俺はバッグを置いて、結を抱きしめた。

「海翔、私も会いたかった… 」

俺は、もう、ここが駅であろうと、人目があろうと、そんな事はどうでもよかった。

ただ、結をこの腕に感じていたかった。

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