残念な王子とお節介な姫
「そりゃ、やつれもしますよ。
残業代なしで、2ヶ月連続で200時間近い
残業ですよ。
俺の元気の素は、いないし。」

「元気の素?」

俺は人混みをかき分けて、一直線に結の元へと歩いていった。

「結、会いたかった。」

俺は、立ち尽くす結を思いっきり抱きしめた。

そこにいる全員が驚いて、一瞬の静寂が訪れる。

我に返った結が、

「海翔!! ここ、会社!!」

と叫ぶが、

「大丈夫。俺、今、就業時間外。」

と、取り合わなかった。

周りも息を吹き返して、

「すっげー、宮本、こんな奴だった?」

「やってられねーな。」

「王子は何をやっても様になっていいねぇ。」

などと囃し立てるが、気にならなかった。
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