残念な王子とお節介な姫
俺は、再び頭を下げる。
「結は、勝気な娘です。
本当にこんな娘でいいんですか?」
とお義父さんに聞かれた。
「結さんは、いつも穏やかで優しいですよ。
いつも、僕を気遣ってくれます。」
「それは、きっと猫を被ってますね。
化けの皮が剥がれたら、後悔するかも
しれませんよ。」
「いえ、そんな事は、ありません。
それよりも、もうひとつ、ご報告しなければ
いけない事があります。」
俺は、ひとつ大きく息を吐いた。
「昨日、2人で病院に行って来ました。
結さんのお腹には、子供がいます。
今、2ヶ月で、1月に出産の予定です。」
「結、本当なのか!?」
「………うん。」
お義父さんの顔色が変わった。
「君は、子供ができたから、結と結婚する
のか?」
お義父さんの口調が冷たい。
「いえ。結さんには、ゴールデンウィークに
プロポーズして、了承してもらってます。
その時は、僕の仕事が今、立て込んでいる
ので、夏に落ち着いてから…と話をしていたん
ですが、先週、妊娠の可能性がある事を
聞いて、時期を早めたんです。
どうか、僕に結さんと子供を守らせて
ください。」