愛のない部屋
出来上がった料理を黙って食卓に並べた。
「沙奈?」
「なに」
素っ気ない返事になってしまった。
「なんか怒ってるの?」
「別に怒ってないよ」
峰岸の方こそ怒っているんじゃないの?
「……そう。冷めない内に食おうか」
もうそれで話はおしまいなんだ。
あっさりと引き下がられて無性に寂しくなった。
「……なんでそんな顔をすんだよ」
ビールの蓋を開ける途中で、手を止めた。
「俺に言わせたいのかよ?」
「は?なにを?」
喧嘩腰の峰岸は、私を睨む。
「今日の男は誰だ?、もう二度と会うな」
「……」
「……こんな独占欲を丸出しのみっともない台詞を、沙奈は聞きたかったのか?」
やっぱり峰岸も気にしてくれていたんだ。
喜んではいけない状況ではあるが、ほっとする。
「俺はな……おまえがかつて好きだった奴に、嫉妬するような小さい男なんだよ」
小声ではあったけれど、峰岸の気持ちが確かに伝わってきた。