愛のない部屋
リビングからはテレビのニュースしか聞こえず、キッチンは私が調理をする音だけが響いていた。
はぁ……。
そもそも峰岸は私のためを思って、残業を篠崎に任せて帰宅したわけで。本来なら感謝するべきなのに。
こんな複雑な心境になるのなら、ひとりで居た方がマシだったと思ってしまう。
この部屋で居心地の悪さを感じたのは随分と久しぶりだ。
峰岸の不機嫌なオーラ、
私を空気として扱う彼の態度、
そして息苦しさ――
かつて感じていたものが、蘇りつつある。
「……」
テレビの画面に釘付けの背中を見て、なんだか泣きたくなった。
――愛のない部屋?
かつての愛のない部屋に、戻ってしまったのかもしれない。
お互いの事情も痛みも知らなかったあの頃に、戻ってしまうということは、
それは――私たちがもう"終わり"だってことだよね?
恋は儚いもの、
よく言われる言葉が頭をコダマした。