愛のない部屋
しばらくして唇を離した時には、全身が燃えるように熱かった。
「顔、真っ赤」
耳元で囁かれ、耳を舐められた。
「あっ……」
反射的に峰岸から離れようとしても、逃しては貰えなかった。
「もう絶対に離さないから」
「……うん」
「これから先、先生がなにを言って来ても、どんな理由があっても。俺はおまえを離さない」
「離れないよ。先生とはまた会わなくちゃいけないかもしれない。でも必ず私の運命の相手は峰岸だって、納得してもらうから」
「うん」
先生には沢山助けられ、家族のいない寂しさを救って貰った。
感謝してもしきれない大切な人には変わりないけれど、
恋人にはもう戻ることはないのだろうね。
「第一ステップ通過できるかな?」
「ああ。おまえの気が変わらない内に、式場を予約するさ」
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
"ありがとう"、"大好き"
それらを私はこれから何度、彼に伝えるのだろう。