愛のない部屋

「結婚することが第1ステップ。第2はマイホームを持つこと。そして子供を作って――」



指折り数えていく姿を、いとおしいと思う。



彼が描く未来に、自分が存在していることへの喜びを感じた。




「第一ステップを越えたいんだ。峰岸沙奈になって欲しい」



ミネギシ サナ……?



その響きに、胸が締め付けられた。




「私も……私も、峰岸沙奈になりたい」




好きだという想いが溢れ出て、胸が苦しい。



先生の時は、こんな気持ちにならなかったのにね。



峰岸は嫉妬してくれているけれど、そこまで心配するほど……私は、先生を愛してはいなかったのかもしれない。




「ありがとう」



真剣な表情を崩し、峰岸は目尻を下げて微笑んだ。



「愛してる……」



「私も……」



どちらともなくキスをした。




「んっ……ん、ん、」



わざと音を立てるような口づけに、はしたないとか恥ずかしいとか



そんな理性は消えていた。




もう私たちは、本能で恋をしているのかもしれない。


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