世界で一番似ている赤色
確かに、優にぃとラインしたり話したりする内容が変わった。
転校前は悩みばかり相談していたのに、今は違う。
自分から進んで学校のことや友達のことを話すようになった。
風が吹き込み木々が音を出す。心の中もざわつく。
「これからは、無理して俺に連絡しなくていいよ」
「……なんでそんなこと言うの!?」
わたしは岩から飛び降り、優にぃの近くへ着地した。
彼の顔をじっと見つめた。視線をそらされた。ジャンプして追いかけた。
身長は追いつくことができない。2歳差という年齢もそうだ。
でも、気持ちは対等になることができる。
「わたし、友達できたし、学校も楽しくなったけど」
「…………」
「優にぃといる時が一番楽しいの! これは変わらないよ? 会いたいから、話したいから連絡してるの! 無理なんかしてるわけないじゃん!」
優にぃと一緒にいると、友達と遊ぶ時よりも、思いっきり自分を表現したくなる。
苦しいことも、楽しいことも、全部受け止めてくれるから。
彼に抱いているのは安心感? いや、それだけじゃない気もする。
会える日が楽しみで、だからこそ日々が充実する。
「ねぇ、優にぃは違うの?」
そう聞くと、ようやく彼は目を合わせてくれた。
目を細め、涙袋を浮かび上がらせながらわたしを見る。
「…………」
しばらく見つめ合っていたけれど、彼は顔をそむけ、スタスタと砂利道を進んでいった。
優にぃこそ本当はわたしよりも友達と遊びたいのかな……。
部活の友達いっぱいいそうだし、かっこいいからモテるだろうし。
……ん。まさか!?
「優にぃ、もしかして彼女できた!?」