桜恋色
次の日。



椎名くんのお願いに応えるべく、ワンピースとレギンスにブーツを合わせて、



髪を緩くまとめてみた。



つい二年前までは好んでしてた格好。



最近は大学生って肩書きが似合う女目指して、



ブーツインとかにこだわってた。




久々に出来る限り甘めにしたつもりだけど……、



椎名くんは納得してくれるかな?



待ち合わせ場所で腕時計に目をやりながら、ドキドキする胸を押さえる。



「桜重さんっ」



背後からかけられた声で振り向けば、



「すみません。遅くなって……」



予想していたより大人仕様な椎名くんが居た。



「予告通り、兄貴の服ですけど」



こう言って、無造作に整えられた頭を何度か掻いてる。




身長があるから、制服脱いじゃえば全然中学生に見えない……。



それにほっとしてしまう自分がなんかイヤ……。




「わたしも……高三のときの服出したよ」



普段は大学生って単語を意識してる自分が、今は高校生ぐらいに見せたくて必死になってる。




我ながら滑稽……。
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