Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
今頃になってようやく、どうして父が、春熙が、車での送り迎えにこだわったのか理解した。
わからなかった自分に腹が立つ。
誘拐されただけでも恐怖なのに、男のひとりが私の太ももをざらりと撫であげた。

「なあ。
楽しんでもいいよな」

言葉の意味はわからなくても、体感としてなにをされるのかすぐに理解した。

複数の手が私の身体をまさぐる。
抵抗しても非力な私の力では、すぐに押さえられてしまう。

神様に、父に、春熙に懺悔した。

――キキーッ!
――ドンッ!

けたたましいブレーキ音がした次の瞬間、車に強い衝撃が走って私も、男たちも、一瞬身体が宙に浮いた。

「なんだぁ?」

前方をうかがおうとした男が、突然、外へと引きずり出される。
他の男たちもつぎつぎに。
開いたドアから見えるのは、男たちを殴り飛ばす春熙の姿。
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