Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「愛乃、無事!?」

私の姿を見た春熙の顔から、感情がみるみる消えていく。

「……誰が僕の愛乃をこんなにしていいなんて、許可を出した?」

――ガッ!

春熙が車を蹴り、車体が揺れる。

「誰が許したのかって聞いているんだ」

「ひぃっ」

もう戦意を喪失しているリーダー格の男に馬乗りになり、春熙は殴った。

何度も。

――何度も、何度も、何度も、何度も。

返り血を浴びても無表情に、虚無の瞳で。
駆けつけた、私の家の人間から止められるまで。

「愛乃……」

目にいっぱい、涙を溜めて春熙が私を抱きしめてくる。
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