Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「失礼します」

「ああ、愛乃か」

中に入ってきた私を目に止め、父は破顔した。

「今日は高鷹の奴に怒鳴られたんだってな」

「はぁ……」

勧められてソファーに座る。
父も私の隣に腰を下ろし、まるで庇うかのように肩を抱いてきた。

「怖かっただろう?」

「えっと……」

じっと父が私を見つめている。
心の中で本日何回目かのため息を小さくつき、上目遣いで瞳を潤ませる。

「はい、凄く怖かったです」

「可哀想に!」

いきなり父に抱きつかれ、誰もいないその背後へ小さく舌を出す。
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