Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「いつものところでいいよ」

「了解」

私かシートベルトを締めたのを確認し、春熙は車を出した。

――ほんとは。

春熙がいつも連れていってくれる、高級なお店じゃないところに行きたい。
でもそれは、私には許されていないから。

さっきだってそうだ。
春熙の仕事が遅くなるのならその間、ひとりで買い物とか行ってみたい。

けれど通勤は父か春熙が絶対一緒、ひとりで会社を出ていいのはあの周り数軒のお店まで。

そんな生活は息が詰まるが、その代わりに贅沢をさせてもらっているので文句は言えない。


個室の焼き肉店は煙にも気を遣っていて、ほとんどにおわない。
ジュージューと肉が焼ける音がむなしく聞こえるのは、私だけだろうか。
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