Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「はるくん!」

ひとりで勝手に話を進めていた春熙は、私の声でびくっと身体を震わせた。

「私、これくらいで傷ついたりしないから。
そんなに大事にしないで」

「でも」

「はるくん。
お願い」

じっと見つめる私に春熙は迷うかのように瞳を数度揺らしたが、すぐにはぁーっと大きなため息をついた。

「愛乃がそこまで言うのなら」

「うん、ありがとう」

私がにっこりと笑顔を作ると、春熙も笑ってくれてほっとした。

「おやすみ、愛乃」

「おやすみなさい」

ちゅっと私にキスをして、春熙は帰っていく。
見えなくなるまで見送って家に入った。
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