Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
自分の部屋に行きひとりになった途端、もう癖になっているため息が出る。

……なんでみんな、わかってくれないんだろ。

父と春熙が、私を甘やかせるのが嫌だ。

私がなにか間違いを犯しても、全部悪いのは周りの人間。
そういう甘やかされ方は私をダメにするし、気分もよくない。
そのうえ、私を孤独に追い込んでいくのだと気づいていない。
そういうのが嫌で嫌で反発したいのに、父や春熙を失望させて怒らせるのが怖くて、望むように演じてしまう自分がさらに嫌だった。

「せっかく、憧れのOLになったのにな……」

本当は大学卒業と同時に、四つ年上の春熙と結婚するはずだった。

けれど長患いだった春熙のお母様が直前で亡くなって、延期に。
その少し前にIoT本部長になった春熙の仕事も忙しくなり、日取りは未定のまま。

父も春熙もその間、花嫁修業でもしていればいいと笑っていたが、私はアルバイトでもいいので働いて、社会経験を積みたいとお願いしたのだ。

当然、猛反対された。
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