Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「ありがと、はるくん」

父は私が春熙に軟禁されているなんて知らない。
ただ、休みの間は春熙の家でプレ新婚生活を送るって聞かされているだけだ。
そして父はそれを簡単に信じている。

お昼ごはんを食べて、また春熙に抱きしめられて過ごす。
彼は暇さえあれば、私をこうやって抱きしめている。
晩ごはんを食べて、また春熙に抱きしめられて過ごして。

「お風呂、入ろっか」

「そうだね」

笑う春熙に私も笑い返す。
一緒のお風呂ももう慣れた。
心を殺すのに慣れてしまったから。

「おやすみ、愛乃」

「おやすみ、はるくん」

私を抱き枕よろしく抱きしめて、春熙は寝息を立てだす。

春熙はいまだに、私を抱かない。
最高の舞台を準備中、なんだそうだ。
ドーテイもここまで拗らせるとめんどくさい。
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