Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
近くの病院で傷を見てもらう。
縫った方が返って痕が残るからとテープで留められた。
その後はさらに移動して椎名さんが私の服を見立ててくれる。

「その、こんなことをしている場合じゃないんじゃ……」

もうすぐ、会議がはじまる時間。
征史さんを信じていないわけじゃないが、それでもやっぱり不安だった。

「あの男が簡単に罪をなすりつけられて、会社を追われるような人間に見える?」

「……見えない、です」

「今回は愛乃ちゃんの事前情報もあって準備は万端、これでやられたらあいつはそれだけの男だったってこと」

言うことは辛辣だけれど、それだけ椎名さんは征史さんを信頼しているんだってうかがわせた。

「だから心配しないで待ってよ。
……ほら、次、これ着て!」

新しい服を押しつけられ、更衣室に押し込められる。

椎名さんにはかなわない。
私もこれくらい、征史さんを信頼しないと。
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