Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「お父様。
お父様には申し訳ないことをしたと思っています。
でも、私は決して、間違ったことをしたとは思っていません。
もうお父様の、春熙の顔色をうかがって生きるのはやめたんです」

「……っ」

父は目もとを赤く染め、黙ってしまった。
悔しかったのか――それともいままでの自分の行動が恥ずかしかったのか。
後者、だったらいい。

「もうお前と話すことなどなにもない。
私には最初から娘も息子もいなかった。
……いなかったんだ」

あたまを抱え込み、とうとう父は黙ってしまった。

――娘も息子もいなかった。

その言葉が胸に刺さる。

父自慢の兄が勝手に大学をやめてアメリカに渡ってしまったとき、父の落ち込みようは凄まじかった。
それだけ、兄に期待を寄せていたのだろう。
そしてその後、その期待は春熙に向くようになったのだけれど。
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