Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
私に対する溺愛も、ちょうどその頃、誘拐未遂事件があったのもあって酷くなった。

期待を寄せていた息子は勝手に自分の手を離れ、さらには溺愛していた娘も自分を裏切る。

父の絶望はきっと、私なんかが想像できないほど、深い。

「また、来よう」

征史さんに促されて立ち上がる。

荒れ果てた室内。
いつもきれいに花が飾ってあった花瓶は、いまは枯れ果てた花がそのままになっている。


父が辞職し、母は父と離婚した。
金の切れ目が縁の切れ目だったのかもしれない。
父の退職金から十分すぎるほどの慰謝料をぶんどって家を出ていった母が、いまどうしているかなんて知らない。
知りたくもない。

失意の父はいままで家で働いていてくれた人たちをすべて、解雇した。
あんなに尽くしてくれた、永沼さんでさえも。
実際、職を失い、母から多くの金を奪われた父がこれまで通りの生活が続けられるわけがない。
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