Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
橋川さんがおどけ、笑いが起こる。
私も一緒に笑っていた。

「じゃ、岩岡課長、乾杯の音頭、お願いしまーす」

「香芝さんにどんな事情があろうと、もう我々の一員だ。
みんな、よろしく頼む。
じゃあ、乾杯」

「かんぱ……」

「愛乃!!」

みんな、中途半端にジョッキを上げたまま、乱入してきた男へ視線を集中させる。

「帰るよ。
お義父さんも心配しているから」

男はその時間すら惜しそうに靴を脱ぎ捨て、座敷へと足音荒く入ってきた。
その光景をただただ、固まって見ているしかできない。
私の傍まで来ると、男――春熙は強引に腕を掴んで立たせようとした。

「やだ、帰らない」

「僕の言うことが聞けないの?」
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