Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
びくん、身体が小さく震える。

「よさないか、怯えているじゃないか」

私の腕を掴む春熙の手を、ぱしっと高鷹部長が払いのける。

「そもそもあなたが、愛乃をたぶらかしたりするから悪いんでしょう?」

立ち上がった高鷹部長と春熙が睨みあう。
ふたりとも背が高いので迫力が半端なく、見ているだけで泣きそうだ。

「さっきも言ったが、君こそいつまで愛乃の自由を奪う気だ?」

「あなたに愛乃を名前で、しかも呼び捨てにする権利なんて与えた覚えはないんですが」

「君の許可なんて必要ないだろう?
愛乃がいいと言ってくれたんだから」

「あなたが強引に、言わせたに決まっています」

ふたりの周りに、静かに静かに冷気が立ちこめる。
私は凍りついて視線すら動かせなかったし、他の人たちも固唾を飲んで成り行きを見守っているようだった。

「君は愛乃の気持ちを考えたことがあるのか」
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