夜の世界に舞う
一軒のお店の前
扉を開け中にはいる。
「いらっしゃい、愛。待ってたよー。」
ここの店員さんは私の事を本名で呼ぶ。
「りん、昨日急に頼んでごめんね。」
「なーに言ってんの?私愛の一番最初の友達じゃん!!ほら、出来てんの見てよ。」
そう言って目の前に出された、ワンホールのタルト。
沢山の桃と梨で飾られていて、星型のチョコレートが所々に散りばめられていた。
「最っ高!!」
本当にこの一言につきる。
「チョコプレートは書く?」
それには首を横に振る。
「好き、後悔してます。ってでも書いといてやろうか?あはは。ほーんと、バーカ。」
「ね。自分でも思う、なーんでこんなにすぐに気持ち引き戻されるんだろうね。」
「どんな男にもなびかないエル様だったのに、客が知ったら泣き喚くよ、きっと。はははっ!」
中洲に来て初めてできた友達。
凛は私にはちょっぴり毒舌で、でもとてもあたたかく接してくれる。
「やっぱ凛大好き。」
改めて凛に言うと、
「バーカ、知ってるって。だって愛、私しか友達いないじゃん。」
頷く私に
「まあ、いつもワガママな注文ばかりしてくる愛のお陰で腕も上がってるはずだから御礼で友達続けてあげるよ!はははっ。つってー私も愛ほど仲良い子いないんだけどねー。ほら、もう早く行かないと心配するよ?」
ありがとう。
御礼を言いケーキ屋を出た。