4時44分45秒目の世界には
首ヲ絞シメラレル……

「や……!!」

叫んだ少女は、直後体の自由を取り戻した。

駆け出して、父と母が寝ている寝室へ飛び込む。

ドアを勢いよく閉め、ふたりの眠るベッドへ抱きついた。

が、

「? ……お父さん? ……お母さん?」

真っ白いシーツの中に、ふたりの形も、ぬくもり、なかった。

ぎぃ――

と、寝室のドアが開き、威嚇するような爆音で、閉められる。

なにかが入ってきた様子はない。

それなのにドアは、開いて、閉まった。

シーツを握り締めて固まる少女は――母の化粧台、その鏡の中、人影が映っているのを見た。

白いパーカーに白い半ズボン……

灰色の肌をした、少年。

しかし、その姿は鏡の中だけ。

鏡の中では、少年は部屋に入ってすぐのところにいる。

けれど、実際には、ただ闇ばかりが広がっている。

鏡の中で、少年が、にたりと笑んだ。

くすんだ灰色の歯が、唾液を絡ませて光る。
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