【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「ねぇ、赤城さんって、皆川くんと話をするの? デスク同じフロアでしょう?」
「え……全然。部署も違うし、わたしはほとんど店頭で受付してるから話をしたこともないよ」
事実をありのまま告げる。こういうことはしっかりと言っておいたほうがいい。
「なんだぁ。知り合いなら電話番号とか聞いてもらおうと思ったのに」
やっぱり……。
実は彼女以外にも、先輩やお客さんから彼とお近づきになりたい女性たちからその手の話を振られることが多々あった。
面倒なことを引き受けることにならないように、わたしは事実をその都度キチンと告げることにしていた。
「やっぱり、自分で動くかっ!」
やる気になったのか目の前にいた彼女は立ち上がり、男同士で盛り上がっている輪の中心にいる駿也の元へと突撃していった。
すごい。あれくらい積極的にならないと彼氏なんてなかなかできないのかもしれない。
社会人になってますます、恋からは遠ざかっているような気がする。
グラスを傾けチラッと目線を先ほどの彼女の方へ向けると、視界には一緒にいる駿也の姿が目に入った。