獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
健吾や晴人にも、身分の高い神官のミイラかもしれないと言ってあるが、それだけじゃないと思っている。
「推測でものを言うのは好きじゃない。結果が全ての世界だからね。まあ、期待せず待っててよ」
《俺も数日後には様子を見に行く》
政務で忙しいだろうに相当今回の発掘調査が気になるのだろう。
「変なプレッシャーかけないでくれる?」
クスッと笑って言えば、ファイサルは鼻を鳴らした。
《ふん、いまだかつてお前はプレッシャーなんか感じたことないだろうが》
「どうだろうね。じゃあ、ルクソールで」
曖昧に答えて別れの言葉を告げると、彼は楽しげに返事をして電話を切った。
《ああ》
スマホをデスクに置き、窓の外に目をやる。
赤い夕日が山の向こうに沈んでいく。
もうすぐルクソールの夕日を見れるかと思うと胸が踊った。
明日、エジプトに向けて発つ。
素敵な夕日が見れるといいが。
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