レフティ
強い力で腕を引かれて、私はあっという間にミドリくんの腕の中におさまる。
酔った頭でこの状況を整理するのは非常に困難だったが、流されてはいけないということだけは、なぜかわかっていた。
「ね、ミドリくん…くるしいよ」
彼の胸を叩くが、そうすればするほど、彼の腕の力は強さを増した。
「やだ。離したくない」
熱い息が首筋にかかる。
流されちゃいけない、そうわかっているにも関わらず、私の身体はそれに素直に反応してしまっていた。
「もうずっとここにいてよ」
留め直した下着のホックは、またも彼の片手で簡単に外される。
服の中で直に背中をなぞる指に、自分でももうどうにもできない何かを感じていた。
「ねえやだ…ミドリくん。ちゃんと話そうよ」
言葉でだけは抵抗したが、甘噛みされた首筋と、背中を伝っていた指が胸の膨らみに近づくと、どうしたって自分じゃないみたいなあの声が漏れる。
「ずっとこうしたかった」
そんなミドリくんの言葉は、不用意に私の胸を締め付けた。
「ごめんなさい…」
ミドリくんの手がようやく止まったのは、きっと私が泣いているとわかったから。