レフティ
「りか~りか~」
そしてミドリくんの赤ちゃんモードが発動する。
私の肩に頭を擦り付けて、彼は甘えた。
「ねーひざまくらー」
「やーだー」
同じ匂いのする髪の毛に、少し胸がくすぐったくなる。
ミドリくんは唇を真っピンクに染めて、口を尖らせた。
「きょう、先生に助けられたって」
「うん?」
私もぼーっとする頭でミドリくんの頭を撫でながら、たどたどしい彼の言葉に耳を傾けていた。
「なにされたの?合コンで」
彼は頭を私の首元まで近づけて言う。
「なにって…なんか迫られて~壁ドンされて~服んなかに手入れられそうになったときに先生が偶然ね。助けてくれた~」
あのときの先生を思い出してしまうと、まただらしなく口元が緩んだ。
現実に壁ドンなんてあるんだね、と私が笑うと、ミドリくんは顔をあげて私を見つめた。
真っ白な綺麗な肌と、ピンク色の唇に黒目がちな瞳。
本当に赤ちゃんのようだ。
「ん?」
「里香はさぁ隙がありすぎなんだよ」
そのピンク色の唇が首筋に軽く触れると、小さく私の身体は跳ねた。
「ちょっと…ミドリくん?」
「今だってそう。この部屋に俺と2人なのに」
プチンと下着のホックが外されたのがわかって、私は慌ててミドリくんを引き剥がした。
「なに急に…」
「なんで、俺じゃだめなの?」
それは今までに見たことのない、男性のミドリくんだった。