私と君と夢物語。

 大きな携帯会社が見える。あと少しで駅に着く。



手袋を忘れてしまった今日はひどく手がかじかむ。

そういや今朝ニュースで言ってたっけ?今日はひどく寒くなるって。




バカだよな。こんな日に手袋忘れちゃうって、



最悪とか思いながら手をさすってセーターの袖に手を隠す。




駅が見えてくる。






楓の彼氏たちらしき人が見えた。


「あの人たち?」

「そうそう!」


細身の長身が2人。



近づいていくにつれその人たちの顔や目線がわかるようになる。


ずっと目線が楓にいっているあの人は楓の彼氏の大貴だろう。



ん~、どうやら将人は居ないらしい。

ってことは、もう一人は翔磨って人だろう。



楓は彼氏に会うのが恥ずかしいのか私の腕を掴んで隠れるように歩く。


でもその顔はやっぱり嬉しそうで幸せそうだった。





楓は近づきたいのかぐいぐいと私を押す。



前に行けばいいのに。




「あ、初めまして~、」




人見知りな私は一歩後ろに下がってしまった。声だって小さくなった。



楓は私の真後ろから斜め後ろに移動した。



「えっとね、こっちが彼氏の大貴で、こっちが翔磨。」


耳打ちするように言った。


「あ~、ん、おけ。」



理解したと私があの人たちに目を向けると2人は会釈してくれた。




「あっ!三神莉桜です!」


私もぺこりと会釈した。



「おう!よろしくな!」


にこって笑った。


「よろしくお願いします!」





翔磨君?ちょっとタイプかも。

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