私と君と夢物語。


楓は私と離れて少し大貴と話している。



私と翔磨はそれを微笑ましく眺める。


「莉桜?は彼氏とかいんの?」

「居ないよ~、」

「そなんや~、」



居そうなのにね、小さく呟いたその一言、私は聞き逃さなかったよ。




楓と大貴が一段落したように見えた。


その隙を見逃さない翔磨。


「ほら、大貴、彼女さんと話したいよね?2人で、」


大貴が反抗する隙も与えず、


「俺ら非リアはどっか行ってまーす!」




そう言うと隣の柱へスタスタと歩いていった。





"俺"じゃなくて"俺ら"ってなんか、少しドキドキする。




初めてあったばっかなのにね、あははは、なに思ってるんだろ。




もう一人の非リアの私も翔磨に着いていこうとした。



楓の方を振り向くと、行かないでと言わんばかりに首を横に振る。

足を一歩踏み出すと楓は私の腕を掴んだ。




翔磨の方を振り向くともう向こうの柱にたどり着いてて、

私と目が合うとおいでと言うように手招きした。




私?と自分を指差した。笑顔で頷く翔磨。





誘い出されるように前へ踏み出す私。

なにかに釣られるように引っ張られるように誘い出されている気がする。



右腕にまとわりつく楓を左手でするすると剥ぎ取った。


翔磨の方へ駆け寄る。





近くに行くとまた目が合う。

くしゃっと笑った翔磨。可愛らしいなもなんて思っちゃったり。

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