私と君と夢物語。




 告白することもなく、卒業式を迎えた。




      会えるのはもう最後になるのかもしれない。





私は私立の学校へ進学する。晴人は公立の地元中学校へ。


離れ離れになる。これもまた運命。しょうがない。


斜め前に座る晴人の後ろ姿を見ながらそんなことを考えていた。





気付けばもう


「卒業生退場」


楽しかった小学校生活が終わりを告げようとしている。





涙が込み上げる。在校生の大きな拍手の中歩いて行く。


歯を食いしばって堪えようとしたけどそんなことも虚しくぼろぼろと溢れる涙。


体育館を出ると涙がとめどなく溢れ出る。



私の嗚咽が校内に響く。友達は私の背中を撫でる。

少し落ち着いた頃に教室に着いた。飾り付けられた教室。もう二度とここに座って勉強をする事はない。



寂しさがこみ上げてくる。また涙が溢れる。




涙目の先生が教室に入ってくる。先生はこの日の為に私達に動画を作ってくれた。

卒業ソングに合わせ流れる私達の写真と先生からの愛あるメッセージ。




小学生最後の作品バッグ。図工やら日記帳やらを入れた大きなバッグ。

その側面にはクラス全員からのメッセージが書かれている。


『今までありがとう』『絶対中学生になったら遊びに行こう!』『これからもヨロシク!』



友達からのはもちろん嬉しかった。でも、晴人からのは他の人とは少し違った。



クラスの何人かはほとんどの男子は私が私立に行くことは知らなかった。



晴人は、




『中学校違うけどお互いにがんばろうね!』






私の好きな色のピンクのペンで書かれていた。





その文字を見ながら先生が作った動画を涙を浮かべ見ていた。








隣の席は晴人じゃなく、優斗。



「頭、痛い、」

涙ながらに私は言った。

「泣きすぎだよ、」

「しょうがないじゃん、」


ははっと笑ってみせる。涙で滲んでほとんど見えない。




晴人に「ありがとう」って伝えたかった。けど、他の人と話してて言えずに私は学校を後にした。








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