夢原夫婦のヒミツ
だけど、どうにか近くにいた先生が気づいて助け船を出してくれて、答えることなく難を逃れた。

「すみませんでした、うちのクラスの子が困らせるようなことを聞いてしまい」

その後、園児たちがお昼寝中の今、職員室で事務作業中に先生に謝られ慌てて手を左右に振る。

「いいえ、そんなっ……! むしろうまく対応できず、すみませんでした」

「全然ですよ。それにしても、困りますよね。あんな質問をされたら」

これには苦笑いするしかない。

健一くん、茉奈ちゃん。……申し訳ないけれど、私の方が聞きたいです。

みんな一日何回キスしているの?って。恋人同士と夫婦では違うのかな。……私と大和さんは普通なのだろうか。

いや、どう考えたって普通じゃないよね。だって私と大和さんは……。

そこまで想いを巡らせた瞬間、ハッとして首を左右に振る。

やだ、今は仕事中なのに私はいったいなにを考えているの? 大和さんのことは頭の中から消さないと。

「夢原先生? どうかされましたか?」

「あ、いいえ。なんでもないです」

不思議に思った先生に声を掛けられ、笑顔で伝える。
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