夢原夫婦のヒミツ
本当に私は幸せだとわかっているんだけど……。

お風呂に上がると片づけを全部済ませておいてくれた大和さんが、入れ替わりお風呂に入る。

少しだけ一緒にテレビを見て他愛ない話をして。歯磨きを済ませると、当然向かう先は寝室。

2LDKの我が家。ひとつは寝室でもうひとつは……。

「それじゃ愛実、おやすみ」

「おやすみなさい、大和さん」

もうひとつの部屋は私の部屋。ドアの先にはクローゼットや本棚などがあり、シングルベッドも置かれている。

電気を消してベッドに潜り込むものの、毎夜感じる違和感を拭えず、なかなか眠れない。

私と大和さんは三ヵ月前に結婚した。知り合って五年になるし、お互いのことは……少なくとも私は彼のことをしっかり理解しているつもり。

優しくて真面目で、人の痛みに気づき、寄り添える人。だからこそ私は大和さんに惹かれたんだ。
< 17 / 244 >

この作品をシェア

pagetop